Vol.10 Autumn 2015「往年のクラシックモデルで 古都の風雅を駆ける」
古都、と聞いて思い浮かぶ筆頭は、まず京都ではなかろうか。京都は世界人気都市ランキングで、2014年から2年連続1位を獲得した実力派。国外だけでなく国内からも多数観光に訪れる町だから、これは当然だろう。ところが、実はその京都とともに国内外で高い人気を誇る町がある。お隣、奈良県である。
奈良県はご存知の通り、平城京のあったかつての都。とは言え、栄えたのは710年に遷都され784年に長岡京に都が移されるまでのわずか74年間ということもあり、現在では京都ほどの賑わいは見受けられない。しかし、あくまでもそこはかつての都。そこかしこに往時の歴史を感じさせてくれる素晴らしい遺物があり、京都ほどの繁華さがないゆえに、それらを落ち着いて観て回ることができる。
それら遺物の中でももっとも有名なのは、世界遺産である東大寺。聖武天皇が国力を上げて作ったこの東大寺の南大門では運慶による仁王像が観光客を迎え、金堂(大仏殿)では大仏が訪れる人々を歓喜させてくれる。
同じく世界遺産の法隆寺も人気のスポット。「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」で有名なここは、推古天皇の時代に聖徳太子により建立されたものだ。シンボルともいえる世界最古木造建築のひとつ、五重塔は優れた耐震設計が成されており、1995年の阪神淡路大震災でも倒れなかったことでその優秀性を証明した。
そのほか、平城京跡、薬師寺、春日大社など、唐の長安をモデルに作った平城京だけに、奈良は京都よりももうひと世代旧い雰囲気を味わうことができるのだ。
そんな奈良の町並みを愛車で走るなら−−。
もちろん最新鋭のポルシェも似合うものの、より気分を出すならクラシックテイストのものがいいはず。ポルシェで言えば356やナローなどがピッタリ来るが、特にナローは価格が高騰し過ぎているという面もある。そこで、オススメなのが現在ガレージ神宮にある1958年式VWビートル、1968年式ロータス・エラン+2、1973年式BMW2002tii。
ビートルはクラシックアメリカンテイストのカスタムを施した逸品で、エンジン1.7リッターへとパワーアップ済み。走りも雰囲気も抜群だ。エランはオリジナルコンディションを保った一台で、ロータスらしい走りの楽しさを堪能できる。BMW2002、通称「マルニー」はどこまでも走って行ける安心感を与えてくれるだろう。
奈良の古都をクラシックモデルで走る。これからの季節にはピッタリではなかろうか。