Vol.14 Autumn 2017「五感を刺激するクルマが好きだ」
現在はAI(人工知能)が大幅な進化発達をしている世の中であり、環境問題とそれに伴うコンプライアンスを重視する風潮となっている。クルマ社会では、少燃費や安全性向上にプラスして各社が一斉に自動運転の方を向き、今ではそれがあたかも性能の良いクルマの代名詞になりつつある。
確かに、便利で楽ちん、経済性に優れた上で安全なクルマは誰にとっても歓迎だ。が、昭和時代に青春を過ごしクルマカルチャーに触れた世代にとっては、近年のクルマ事情はなにか物足りない気もしないだろうか。
自動車メーカーはパワー競争とスピード自慢とは別に、少燃費と自動運転に凌ぎを削るようになった。街では少燃費の排気音が聞こえない車種が勢力図の主流を占めるようになってしまった。諸外国では近い将来、ガソリン車の製造販売中止を伝えるニュースまで届く始末。
日本も、ハイブリッドカーを始めとした燃費のいいクルマがあふれたため、ガソリンの消費量が減り、多くのガソリンスタンドが廃業に追いこまれている。地方では、ガソリンスタンドの存続を行政が行っているところもあるほどだ。このままでは携帯電話のあっという間の普及と同じような速度で、近い将来レシプロエンジンのクルマに乗れなくなる時代が来るかもしれない。
今こそ、五感に訴える刺激のあるクルマに乗れる最後のチャンスかもしれない。
心地よい排気音を聴き、ハンドル操作に注意を払い自分の足でアクセルペダルやブレーキペダルを踏む行為は楽しい。自らの愛車の動きや性能を感じながらのドライブは、クルマ好きにとっては、メンタルリッチな時間を提供してくれるもの。大切にしたい。