Vol.22 Summer 2022「アジア圏内での日本のポルシェ事情。販売台数は如何ほど、か。」

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今年はコロナの影響や半導体不足、ウクライナ問題等でポルシェの製造や販売は計画通りには進んでいないが、昨今のポルシェの新車販売はグローバルで好調であった。2021年度は、初の30万台を超えるまでの成長を遂げた。この最大の要因は、世界的な金余りだと思われる。行き場を失った有り余ったお金が高級車であるポルシェの新車に流れ込んだというわけだ。

結果的に、新車不足になり、中古車市場の価格も高騰した。しかもそれが異常な状態にあり、高年式で走行距離の短い992カレラなどの現行モデルは、新車価格よりも高値で流通しているほど。991モデルも人気が高く、以前よりも高値維持をしており、空冷911に至っては数年前から価格が高騰を続ける。世間の経済状況とは無関係な状態ではないかと思うほどの景気のよさである。中古車サイトに掲載される物件情報の数は、数年前であれば911に絞っても1000台ほどの掲載量があったが、この直近では800台までに減った。ポルシェの新車とともに中古車は、供給よりも需要が上回っている状況なのだろう。

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さて、現地法人のポルシェジャパンが設立以来順調にポルシェの販売数を伸ばしてきた。2018年より7000台をクリアし、2020年には7284台を記録。2021年は少し台数を下げたが7009台となった。販売数は、ここ10年で3倍の伸び率である。その結果、名古屋の市街地をクルマでドライブしていると、必ず視界の中にボルシェが入るほど。毎年7000台ほどが日本に上陸しているとなると、ポルシェに遭遇することは珍しいことでもなくなった。ならば、アジアまで視野を広げるとポルシェはどうだろうか。

お隣の韓国では、2014年に現地法人ポルシェコリアが登場した。現在、韓国は高級車が爆売れ状態のようだ。2020年は7779台、2021年7609台のポルシェが販売された。驚くことに、日本の販売台数を超えている。総人口が日本と比べて半分以下であり、新車を扱うポルシェセンターの数は3件しかないのだが。この販売台数の多さは不思議な気がする。そして、現在アメリカを抜かしてポルシェの最大マーケットとなった中国は、販売台数の桁が違う。2020年88968台、2021年95671台の想像もつかない販売数だ。コロナ禍の昨年、日本と韓国は影響を受け台数が減るなか、中国は伸ばしている。

以前は、日本の販売台数はアジア圏1位の販売台数を誇っていたが、現在は3番目のマーケットというわけだ。一方で、1952年より三和自動車が輸入販売元となり、翌年356が日本に上陸したという長い歴史がある。そのため、どのアジア諸国よりもポルシェの本質を理解していると言っていい。その証拠に、どこの国もSUV系ポルシェはもてはやされているなか、日本独自の現象として911モデルの販売比率は高い。2019年の992の輸入台数は1766台を記録している。グローバル的には、911の比率は約12%のようだが、日本では常に25%を占める。

ドイツのポルシェ本社を訪ねた際にポルシェスタッフからこんな質問を受けた。「なぜ日本人はベーシックモデルよりも性能が高いGT3などのホットモデルを欲しがるのか。性能を使い切れる道路事情ではないのに」と。まさにその質問は、日本人のボルシェに対する価値観を表しているのだ。ボルシェに対する憧れやクルマとしての本質的な良さを理解しているからではないか。911に乗りたいという欲求と、より高性能車に乗りたい願望は、他国の人よりもポルシェの本質、ポルシェの存在価値を理解している証である。
多くの日本のポルシェラバーが、ポルシェに魅了される機会を作ったのは元ポルシェ輸入元だったミツワ自動車だ。SUV系ポルシェの元祖カイエンが日本でもヒットしたのは、ひとえにミツワ自動車が作った「ボルシェブランド」のおかげだろう。そんな一時代を創り上げたミツワ自動車が7月31日をもって閉店するのは寂しいものである。

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